6.3 労働市場・雇用制度
山岸・ブリントン (2010, p.20)
アメリカ社会のほうが日本社会よりもリスクが大きいという常識は、例えば、雇用の安定についての考え方に反映されています。日本の方々は、雇用の安定とはクビを切らないことと同義なのだと考えていると思います。(中略)クビを切られても、すぐに新しい職を見つけることができれば、それはそれで雇用の安定につながります。
山岸・ブリントン (2010, pp.33-34)
終身雇用に代表される「場」にしばられた制度は、戦後の復興期から高度経済成長期を経て、右肩上がりに発展を遂げていた時期の日本にとっては、非常にいい制度だったと思います。しかし、そうした制度が成功しすぎたために、いわゆる「成功の呪い」に苦しむことになったというのが、バブル崩壊以降の日本の姿なんだと思う。(中略)高度成長期にうまく機能した制度が、(中略)いわゆるバブル経済の崩壊と産業構造の変化、グローバル社会の進展など、(中略)そうした変化に対応するためには制度の切り替えが必要なんだけれども、そうした制度の変化が生まれる前に急激な経済や社会の環境変化が起こってしまった。
https://next.rikunabi.com/journal/20210804_t01/
参考文献
山岸俊男・ブリントン,メアリー・C (2010)『リスクに背を向ける日本人』講談社現代新書2073.